とても緊張した空気の中、無情にもあるアニメソングが流れた。携帯の着信音だろう。
しかし、その場には2人しかいないのにオレはもちろん、弥勒夏彦もピクリとも動かない。

「……鳴っているぞ。」
「オレ、電気で壊しちゃう事があるからいつも蛮ちゃんが持ってるんだけど…。」
「何!?」
慌て雪彦君のお兄さんが自分の携帯電話を取り出し電話に出る。

「護り屋弥勒だ。なんだ紘季か。戦闘中に電話をよこしてくるな!」
『そんなのオレが知ってるわけないじゃん。』
「まあ、それもそうだが…。」
『いやね、ヒマだったからなんとなくかけてみたんだけどお取り込み中だった?』
「そもそも仕事中だということはわかってただろ!?かけてくんな!!」
『はーいはい。じゃあがんばってねー。』

ピッ。

「雪彦、これはどうやって直すんだ?(兄貴そんなのもわからないの?)
五月蝿いぞ、奇羅々!(しょうがねぇよ、夏彦は機械オンチだからな。)
悪かったな、椿。機械オンチでよ!!」

大急ぎで設定変更をしようとする夏彦。

「おい、違うじゃないか。(その前の作業を1つ飛ばしたぞ。)
緋影!だったらお前がやれよ!(兄さん、そんなことしたら銀次君にバレちゃうよ…。)
ああ、そうだったな…。」

「…あ、あの…。」
「あれは俺の趣味じゃないからな!!?」
人間か否かの微妙な線を踏んでいそうな形相で、雪彦君のお兄さんがオレを睨む。
(ちなみに、この時の顔は蛮ちゃんが食い物にありつけなかった時の顔より怖かった。)
「は、はいっ…。そ、そうだよね…。」

だって……この歌、確かキューティーハニーだもん………。

「そうだ、これ誰がやったんだ!?(僕達じゃないんじゃないの?)
何!?誰も知らないのか!!?(そういう夏彦だったりするんじゃねぇか〜?)
そんなことあるわけなかろう、右狂!(そうだな、大体夏彦がこの歌を知ってること自体驚きだからな。)
お前が知っていたら俺も知っているの決まってるだろう、時貞!!
とにかく全員心当たりないんだな!?(7人で1人なんだから誰かがやってたら誰か知ってるに決まってるでしょ。)
それもそうだな、奇羅々…。」

誰でもないんだ…一体誰なんだろ…?
ってゆうか他の兄弟達はどこにいるんだろう…?

「だー、わからん!雪彦、あとで直しておけ!(はいはい…。)
…すまない、もう1度やり直させてもらっていいか…?」
「う、うん…。」


03.07.29up


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