「……赤屍…」
「紘季クンですよ」
「そ、そうよね…」
「懲りませんね彼は…以前(参照)は半殺し手前で誓約書にサインまでしたというのに」
「誓約書?!」
「半殺し…」
「手前ですよ」
「あんまり強調しても意味ないわよ、それ」
「すぐに土下座して絶対にしないと言ってましたがね」
14歳(恐らく精神年齢はそれ以下)相手にくだらない理由で本気の赤屍、ある意味見物だ。
「しかしあれでは1年となっていたはずなのですが…」
どこからともなく折りたたまれた紙を取り出す赤屍。
「何よそれ」
「その誓約書ですよ」
なんで持ってんのよ。
思わず裏手つきでツッコみそうになってしまった卑弥呼だった。
「…これは…やられましたね」
卑弥呼が誓約書を覗き込むと、『本日より先1年』の後ろに薄く小さく『×1/24』と書かれていた。
「24分の1って…半月ってことよね…?」
「そうなりますね」
「随分過ぎてるじゃない」
「だからこうして仕掛けられたのでしょう」
「しかし選曲があやつらしい…」
「ホントよね…」
「聴いたことあるような記憶はあるのですが、なんという曲なのですか?」
その問いに答える者はいなかった。
「…なんだって着メロが『桃色片思い』なんだよ…」
「今だけ蔵人からのメールか電話の着メロ。ってことは聴いたんだー!」
「またやったの?」
「うん、同じく松○亜弥の『ね〜え?』で」
「………」
「………」
「どういう曲?」
「セクシーかキュートのやつ!」
「…ここ(HonkyTonk)のテレビでちょっとだけ聴いたことがあったようなないような…」
「流石に世間と無縁の生活してんな、お前…」
「それで、赤屍さんはなんだって?」
「………うわー!!」
「うるせェよ、どうした」
「く、蔵人っ…!」
「あっ、赤屍さんが…?」
「微妙に答えになってないー!!」
「は?」
「ほらこれ!!」
「えっと…『時雨さんの場合はクールの方が合っていると思いますがね』だって」
「ね!」
「選択肢にない上にどっちが好みかわからないです、赤屍さん…」
「確かに時雨からキュートやセクシーなんて微塵も感じねェし、冷たすぎてブリザード吹き荒れそうだけどよ」
「それってどんな状況ですか…」
「も1個足してクールビューティーとか?」
「つーかどっちが好みなんだかわかんねぇし」
「そもそもどっちを求められてもその相手が私なら絶望的ですよ」
「そりゃあな」
「だからクールビューティー!」
「あれ、まだ続きがある…『覚悟を決めて下さいね、紘季クン』…だって」
「………」
「……ギャー!!オレ今から逃亡してくる!!」
「おう、がんばってこい」
「…今赤屍さんは仕事ってさっき言ってたような…」
04.09.06up
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