「聞いてくださいよォ、膕さん。
現大和屋の鈴ぼっちゃんは数ヶ月前まではそれはそれはかわいらしいお坊ちゃんだったのでございます。
今の様子からはとても想像出来ないでございましょう?
数ヶ月前までは吉田さんの後をくっついて歩いてたのですよ、自分の兄の敵討ちにと。
そりゃァもうあたしには健気としか言い表せませんよォ。お兄さんのために小姓としてこつこつ努力していてねェ。
あら、わざわざ干菓子とお茶をありがとう、腦ちゃん。
そんな中ある男の子と友達になりましてねェ。赤みがかった髪の背のちっちゃい子でございまして。
その子が初めてのお友達になるかと思った矢先に吉田さんが亡くなりましてねェ。
なんでもその背のちっちゃい子は新撰組隊士なんだそうで。
その子が吉田さんを殺した、と鈴ぼっちゃんは思ったようでございますよ。
それが事実かどうかはなンにもわかっちゃいないのにねェ…。
それからどんどんと捻くれて現在にいたるのでございます。
こちらを初めて伺ったときは思わずほろりときてしまいそうでしたよォ…わざわざ手ぬぐいをありがとう、頭ちゃん。
正直な話、あたしにはあの頃の面影はこれっぽっちも伺えませんよォ。
これじゃあ吉田さんも天国か地獄で涙を流してるでございましょうに…。」

「…勝手に変な話を作るな。」
「おやまァ、本当の話でございましょうに。」
「お前の偏見を混ぜるな!!」


この人、ある意味最強だと思う。(というか性別を決めてない。)


04.05.24up


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