「………」
目が覚めて、まず私は沈黙した。
「ああ…やっと起きたね」
そう声をかけてきたのは、紅茶のカップを持った、紛れもなく私だった。
「………」
「まあ、私もそうだったしね…無理もないか…」
「……前みたいな入れ替わりじゃなくて、私自身?」
「前の時は半年後だとか言ってたけど…本当にそうみたいだな…」
私の携帯に表示された日付を見てもう一人の私が言う。
「そういえば、あれもこの時だったな…」
「あれ?」
「多分教えても間違いなく逃げられないから意味はないだろうけど…」
「だったら心構えを作るつもりで教えて」
「前の時は教えてくれなかったから無理だと思う」
よくある時の流れは変えられない、ってヤツですか…。
半年後の私は身体的変化は見られない。
違いがあるとしたら半年後(?)の私はピアスをしてることくらいだろうか。
そこで私はやっと昨日偶然出会った人の言葉を思い出した。
すぐに携帯を返してもらって私はある人に電話した。

「珍しいわねー、私に電話をくれるなんてv」
「こんなことでもない限り電話して呼び出したりなんてしませんよ…」
「確かに」
「2人になっても言う事は同じなのね〜」
「結局は同じ人間ですから」
「姪っ子が実は2人だったような気分だわ」
「…そのままじゃないですか?」
私が呼び出したのは現在唯一の肉親、蓮藤怜夜さんだった。
父の妹ということはもう30はいってるだろうけど若い。(ミニスカート…)
流石に今は仕事中じゃないからローブは着ていない。
「昨日偶然会ったときに『思いもしないことが起きる』って言ってたじゃないですか」
「あ、それはテレビの話」
「………」
「そういえば、半年前もそんな事を言ってたような…」
「………」
人間ってアテにならないものだと今更ながらに思った。
その時、チャイムが鳴ってドアが開く音がした。
「時雨さーん!赤嶺元気ー?ってええっ?!
半年後の私が隠れる間もなく、ドタドタと紘季が部屋に入ってきた。
「あら紘季君。ご無沙汰振りv」
「………」
半年後の私が溜息をついている。きっと「半年前もそうだった」とか思ってるのだろう。
この中で1番普通の反応をしたのは間違いなく私だろう。
「………えっと、これは……」
「もしもし蛮?!時雨さんが2人になってる!!」
『何だと?!』
『うっそ、時雨ちゃんが?!』
「マジだって!」
「ちょっと、なんで教えてんの!」
「もしもし花月君?突然だけど時雨が2人になっちゃったのよ〜v」
『…それは本当ですか…?』
「怜夜さんまで…!」
「よし、これで送信…っと」
「紘季勝手にメールしないで!っていうか誰に送ったの?!」
「おい、マジか時雨ー!!」
「もうきてるし…」
「よし、これで写真添付したらOK!」
「OKじゃない…」
私はソファに倒れこんだ。
その横では半年後の私が再び溜息をついた。

「…で、どういうことだよ?」
「さあ…」
結局、私の家には蛮さん・銀次さん・花月さん・紘季・怜夜さんが集まり、赤屍さんと鏡氏がそれぞれ紘季と怜夜さんによって中継中だ。(増えてる…)

長っ。どちらかというとタイムトリップ系。ここまで書いてやめた。
ごく普通に怜夜が出てます。実は別ジャンルで考えてたネタ。

2004年9月中


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