「…髪が長い…」
首にかかる髪を右手で後頭部におさえる。
部屋はエアコンがかかっているけど、首は髪に邪魔されてあまり涼しく感じない。
最後に髪を切ったのも半年くらい前だったと思う。前髪は見える範囲だから自分で切っていたけど。
明日辺りにでも切ってこようか…。
そう思ってバイトが入ってないか思い出そうとしたところで。
「私が切って差し上げましょうか?」
「いえ、結構です」
商談は既に終わったというのに居座り続ける赤屍さんの言葉に私は即答した。
「何故ですか?」
「何故って…」
答えられないことはないけど、答えにくいことは確かだ。
「心配せずともちゃんと時雨さんの希望通りにしますよ」
「はあ…」
あまり信用出来ない。気づいたらやりたいようにされてそうな…。
「新聞紙は…なさそうですね」
もう決定なんですか、そうですか…。
「取ってませんからね」
「下で貰ってきましょうか」
その手にはしっかりと私の左手首。
「…私も行くんですか…」
「絶対に逃げないと言うのであれば私も安心して1人で貰いに行けるのですがね」
「まあ、そうでしょうね」
覚悟を決めた方がよさそうだ…。
「一応訊いておきますが、ヘアゴムやヘアピンはありますか?」
「あると思いますか?」
「…ないでしょうね」
使わないものを持っていても意味がない。
「では、紐か糸はありますか?」
「……手品用の見えないやつなら昔使ってたのが」
「…まあ、いいでしょう」


この後髪で遊ぶ予定。だからか進んでません…。

2004年10月中


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