朝食後。
ヨーコはいつものごとくバイトへ行き、勘太郎は締め切りの近い原稿に取り掛かっている。
残った春華、スギノ、むーちゃん、そして蓼科銀狐は…。
「はい、フルハウス」
「ちくしょー!!また負けたー!!ワンペアもねー!」
「春華がツーペアで…あれ、むーちゃんフォーカードだ」
「む〜」
暇つぶしにポーカーをしていた。
「イカサマしただろ蓼科銀狐!」
ちゃぶ台をひっくり返す勢いで立ち上がるスギノ。それは二人が抑え一匹が乗っていたことで阻止した。
「俺より上がいるんだからそれはないよ。確かにこのカードは俺の持ち物だけどね」
「お前もなんか言ってやれ鬼喰い!」
「うるさいぞスギノ…」
「そりゃこれでマイナスだからね、スギノ」
「うるへー!」
「こんな旦那どう思う?むーちゃんは」
「むぅ〜」
「ふーん、そっか……」
深刻そうな顔で頷く蓼科銀狐。今はサングラスをかけた洋装の青年が出ている。
「わかるのか、草紫」
「いや、わかんない」
「貴様にわかってたまるかー!!」
同じ部屋にいる二人と一匹の反応はなく、スギノ様うるさいよーという勘太郎の声だけが届いた。草紫にいたっては自分の湯飲みに緑茶を淹れている。
「あ、むーちゃんもお茶飲むの?」
「むー」
「俺も茶くれ」
「俺は霞じゃないから自分で淹れてね」
「無視するなー!!」
今度はちゃぶ台にどかっと足をつくスギノ。春華と草紫がそれぞれの湯飲みを持ち上げたために被害はなかった。
「じゃあ今度はトランプじゃなくていいよ。もちろんそっちで準備してくれてもいい。使ってないけれど一応仕込んである道具も全部出そう」
すると出てくるトランプやら糸やらスカーフやら…。
「…どうやってそんなに隠してるんだ、お前」
「それを言ったらマジシャン失格だよ」
「1番いいのは他のヤツが出てくることだがそれはいいとしよう…。鬼喰い、この家に花札はあるか?」
「知らん」
「霞がそこの棚にあるって」
「おーそうか」
「(コイツが言ってる時点で怪しいと思わないのか…?)」
そうツッコみたいが、後のことも考えあえてツッコまない春華だった。


なんだかんだで銀狐初出は手品師草紫兄さんでした。流石?登場率ナンバー1。名前だけなら霞も出てます。
スギノが変な気がする。実はポーカーのルールはよく知らなかったりする楓藤がお届けしてます。(オイ)

2004年12月中


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