「あっ!時雨ちゃ……ん?」
あれから10分足らず、新宿を彷徨っていた時雨(鏡)は歌舞伎町周辺で宣伝していたGBの2人に遭遇していた。
「どうした、クソ屍にお持ち帰りされて朝起きたらそれが用意されてたってか?」
「うそっ?!」
「違いますよ…そもそもそうなっていたら外に出ることはないでしょうし」
「そりゃそうだな」
「じゃあどうしたの?」
「出る時少し慌しかったんですよ」
「わかった!きっと鏡さん関係だ!」
「そんなとこですね…」
そんなとこどころか、まさしくそうではあるのだが事実は少し違うと言える。
「…オイ銀次、そろそろ場所を移すぞ」
「えっ、でもまだ30分くらいしか経ってないよ?」
「たまには別の場所で宣伝した方が知名度は上がるだろ」
「たまにはって、たいして変わんないと思うよ?」
「いいから行くぞ!」
「あだっ!!時雨ちゃんバイバイ!」
蛮が銀次を殴り、ずるずると引きずり人込みの中へと消えていく。
「…まあ、バレても問題はないし、ね」
くすっと笑みをこぼした後、時雨もまた人込みの中に消えていった。
「どしたの蛮ちゃん、何かあったの?」
銀次の問いには答えず、蛮は銀次を引きずったまま路地に入っていく。
「蛮ちゃんってば!」
「……思ってたよりはチチあったな、時雨」
蛮がそう呟いた瞬間、鈴の音が響いた。
「そこか!」
「えっ、ちょっ、蛮ちゃ〜ん!?」
振り向きながらその方向へ銀次を投げ飛ばす蛮。
しかし、痛みは感じることなく銀次は空中で静止した。
「あ、あれ…?」
「多分時雨にもバレてんぞ?絃巻き」
「余計なお世話ですよ」
「かっ、かづっちゃん?」
現れたのは、風鳥院花月その人だった。
前回から鏡(時雨)はまだ電器屋。続く。なんだかんだで長いな…(4ヶ月だってさ)
2005年1月中
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