チャイムを鳴らしてもドアが開く気配はない。しかし時雨さんが外に出ていないことは霧生さんに確認済みだ。
そこで時雨さんの住む部屋の向かいにある家の屋根に登ってみたら…。
「時雨さんっ?!」
ソファに横たわった時雨さんの姿があった。
僕はすぐさま時雨さんの部屋のベランダに飛び移り、絃を使い鍵を開けて部屋に駆け込んだ。
「大丈夫ですか、時雨さん!!」
僕は時雨さんの(不健康ゆえの)軽すぎる体をを抱き起こしさすってみる。
「意識はありますから、花月さん…」
「どうかしたんですか、時雨さん!」
「腹痛ですよ…」
「何か悪いものでも食べたのですか?!」
「その逆で20時間近く飲まず食わずですよ…」
それだ。

「少しは食べないとダメですよ、時雨さん」
僕が持ってきたインスタントスープの入ったカップを時雨さんに渡しながら僕は言った。
病名をあげるなら胃痛。原因は胃に食べ物が入らなかったことで胃酸が胃の内部を溶かそうとしてしまったこと。あまりに食べてないためにこうなってしまったようだ。
「そう言われても、あまり食べる気がしないんですが」
「せめて何か飲んで下さい、脱水症状になってしまいますよ!時雨さんだけの体じゃないんですから
「いえ、私だけの体ですから」
「…すみません、間違えました」
『時雨さんだけが特別な体だというわけじゃないんですから』だった…中身が凄く飛んでいる。飛びすぎている。平常心を保たなければ僕!
「何時から時雨は身篭ったんだろうね?」
「だから間違えたんですよ!それならあなたやDr.ジャッカルの方が怪しいじゃないですか!」
「その前に鏡氏、いつの間に…」
「そこが開いてたし絃の花月クンがいたからね」
「邪魔なんですよハッキリ言ってあなたは!覗きはやめて下さい!」
「そういう花月クンはストーカーだよね」
「覗き魔に言われたくないですよ!」
「どっちもどっちですよ……」
そう呟いた時雨さんの声は僕達には届かなかった。


大丈夫か花月。凄くテンパってるぞ花月。でも楽しいよ花月。いつか救われる日がきたらいいね。(来なさそ以下略)
うちじゃ鏡はどちらかというと覗き魔だと思った。相変わらず報われない人です。そういう役どこ以下自主規制。
珍しく赤屍さんが出てない。こういう話じゃメインになってそうなのに珍しい…!(あえてそうしたんだけど)

2005年2月中


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