「お?卑弥呼じゃねぇか」
「わーい、卑弥呼ちゃんだ〜!」
「こんにちは、卑弥呼さん」
「…蛮?それに天野銀次と絃の花月よね?」
時雨を尾行していた3人が見つけたのは卑弥呼だった。
「……あんた達、何してんのよ」
卑弥呼が尋ねたくなるのも無理はない。
3人は建物の角から上から花月、蛮、銀次の順に顔を出していた。
「時雨ちゃんを尾行しているのです」
「時雨を尾行?」
「なんか今日変なんだよ、時雨が」
「変?何がどう変だって言うのよ」
「1度会って話せばわかりますよ」
「話さなくても見りゃ十分だろ」
「外見が違うって言うの?」
「じゃあ卑弥呼ちゃんは今日はまだ時雨ちゃんと話してないの?」
「話してたらそんなこと言わないんじゃない?あんた等の語り口からして」
「……よし、卑弥呼。ちょっと時雨と話してこい」
「なんであたしがあんた達に協力しなきゃならないのよ」
「オレ達もう話しちゃったからこれから会うと怪しまれるのです」
「絃の花月だったら問題ないんじゃ…」
「あっ、時雨さんが進路変更したようです。こっちに向かってきますよ!」
「頼んだぜ、卑弥呼!」
「あっ、ちょっと!」
3人が即座にこの場を離れていく。
「………3バカ…」
大きなため息と小さな呟きは街にかき消された。
「…何かあったんですか、卑弥呼さん」
「ちょっとね…」
時雨に声をかけられ、振り返りざまに答える卑弥呼。
「…時雨こそ、何かあったんじゃないの?」
「何もありませんよ…今日会った人みんなに言われましたけど」
「言いたくなるわよ、絶対。そんなカッコしてたら」
時雨の服装は先程から一切変わらないぴったりしたシャツだ。
「そういうものですかね…」
「時雨の場合特にね。本当に何もないの?」
「ないですよ」
「…まあいいわ。また今度会いましょ」
「ええ」
時雨が去ってゆき、蛮達が近づいてくる。
「もうちょっとなんか話せよ、卑弥呼!」
「…ねぇ、時雨って普段すれ違っても話し掛けたりしないんじゃない?」
「……言われてみれば…」
「そういえば、オレ達の時はこっちから呼びかけたよ」
「あと、もし何かあったと思うんだったら関わってそうな人から裏づけを取った方が手っ取り早いと思うんだけど」
「「「!!」」」
3人にとっては盲点だった。
時間稼ぎその2。花月+蛮+銀次+時雨に何か=3バカトリオ。中身があれだから仕方ないと言えば仕方ない。今度こそあと4回くらいで来月辺りは2回分とか。
2005年4月中
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