スタンが言ってから1秒もしないうちに、女物のサンダルがハリーの頭上を通過してスタンの顔に直撃した。
「ごめんごめん。足をぶらぶらさせてたらサンダルが飛んじゃったよ」
真後ろから陽気な、それでいて何かを含めたような声が飛んでくる。
絶対嘘だ。
ハリーはそう確信した。
「…危ねえじゃねぇか、おめぇ」
「絶妙に目とかは外れてるじゃないか。足をぶらぶらさせてて飛んじゃった割には素晴らしいコントロールだったと思うよ。ねぇネビル!」
「そ、そうですね…」
とりあえず話を振らないでほしいとハリーは思った。
「これ履ぇて地面歩いてきたんだろ」
「私に踏まれたと思えばスタンなら平気だよ」
「思えねぇし平気なわけねぇよ」
「スタンなら平気だと思うけどな……あ、でもさっき不良の顔とか蹴ったな…その後少し歩いたけどちょっと汚いかも」
「おめぇは女王か。やっぱり汚ぇだろうが」
「女王よりはSかな。あ、軸足は右だから蹴ったのは左か。それ右だから大丈夫だよ」
「Sかおめぇは。やっぱり投げてんじゃねえか」
「喜ばれたら嬉しくないSだよ。足をぶらぶらさせてたのだから軸足も何も関係ないだろう?」
「そりゃいってぇどんなSでぇ。足ぶらぶらさせて飛んじまったで素晴らしいコントロールなんざ無理ってもんだ」
「どんなってこんなSさ。世の中には奇跡ってものがあるからわからないよ?」
「わかりゃしねぇよ。それが奇跡だってぇなら重症負う方が普通だってぇのか?」
「当たり前だよ、勢い任せに言ってみただけだから。偶然でも可だよ」
「適当な事ぬかしてんじゃねぇよ。偶然じゃ奇跡より悪意があんだろ」
「それを間に受ける」
「おい待て。おめぇそのスカートのままで顔を蹴ったってのか?!」
そっちにいっちゃうの?!
テンポの速さに追いついていけなかったハリーの目線がスタンで停止した。


うちの中じゃ最高速とも思われるノリの2人。いろいろ書きかけてるんでそのうち…!

2005年5月中


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