それはオレがばったりレナちゃんと出会って買い物に付き合ってHonkyTonkに帰ろうとしていた時のこと。
突然、『狙い撃ち』のイントロが流れた。
「あ、ごめんレナちゃん。電話だ」
買い物袋の1つを持ってもらって携帯を取り出してるうちに歌も流れてきた。
「この曲って野球の応援の曲?」
「高校野球なんかだと特にわかりやすいよー」
関係ないけど、実はこの曲では歌い出しからのとか『この世は私の為にある』だけのやつとかいろいろ作ってあったりする。もちろんオレは使わないけど!
取り出した携帯の液晶画面には『風鳥院花月』の表示。
「カヅっちゃんかー。なんか珍しいかも」
言いながらオレは通話ボタンを押した。
『やあ、紘季』
「カヅっちゃん?どしたの?」
『ちょっと訊きたい事があってね。紘季は今日時雨さんに会ったかい?』
「時雨さん?今日は会ってないよー」
「時雨先輩は今日はお休みだよ」
レナちゃんに聞いてみようと思って顔を向けたらそう教えてくれた。
「今レナちゃんが言ってたけど、時雨さん今日はバイト休みだって」
『ひょっとするとデート中だったか?そりゃ悪ィことしちまったな!』
電話の向こうから蛮の笑い声がする。
「えっ、そっち蛮がいるの?!そうじゃなくって買出し中のレナちゃんとたまたま会ったんだって言っといてよ!」
『わかったよ。じゃあ、時雨さんに何か関係してそうな出来事はなかったかい?』
「えーっとねー」
朝うちを出てからのことを思い出す。関係してるかなーと思えるのは…。
「…あ、鏡が電器屋さんに入っていくのは見たよ。この場合卑弥呼さんよりは時雨さん関連でしょ?」
『それはどれくらい前のことか覚えてるかな』
ちょっと間が出来てからカヅっちゃんの声がした。蛮がいるのはわかってるしそれなら銀次さんもいるだろうからなんかあるのかな。
「どれくらいだろ?オレが駅らへんうろついてたころだけど」
あちこちうろうろしてたから何回も通ったし、時計は見てなかったから覚えてない。
それと、時雨さん関連なら重要なのが。
「あと、蔵人が時雨さんに会いに行ったっぽい。昼間は特に予定は入ってないと思ったし」
『そうか…ありがとう、紘季』
「うん、また今度…あっ、ちょっと待ってて!!」
オレは向こうの返事も聞かないで携帯を閉じてレナちゃんの手から荷物を取って走り出した。
「あっ、待って紘季君!どうしたの?!」
「時雨さーん!」
「時雨先輩?」
「今日はなんかあるみたい!時雨さーん!」
人ごみを掻き分けて時雨さんを捕まえた。遠目で見てても随分印象が違ってたけど近くで見るとよくわかる!
「どしたの時雨さん!鏡と何かあったの?!」
「…多分、紘季が考えてるようなことはないと思う」
なんだー、蔵人は朝はうちにいたから鏡だ!と思ったけど違うのかー。
「2人は…」
「オレは散歩してたんだけど、途中でレナちゃんに会ってそれから一緒。時雨さんは?」
「……さっき夏彦さんに用があったんだけど肝心なことを話せなかったからね…なんか用でもあるの?」
「ううん、別に何もないけど」
「あ、そう……紘季」
「何?時雨さん」
「もっと気を使った方がいいよ」
「えっ、どういう事?」
時雨さんは何も答えないで歩いていってしまった。
その後カヅっちゃんに経過を報告してからはどういうわけかレナちゃんとの会話があまり続かなかった……なんとなく後味悪いから後でなんか埋め合わせしとこうと思った。
『狙い撃ち』は山本リンダ。先日チャンネル回してたら偶然やってたんだ…。
今回苦労したのは全体の長さとレナ。なんか長くないか今回。そしてレナは普段目上相手の言葉が多いから同等だとどうなるのか…。
そして他の人より絞込みが可能で発想が奇抜なヤツにだけは捕まりたくなかった中身の人。でも一応アドバイスはしていくのか…。
何を書きたかったんだかよくわからないまま、ラストスパートかけたいところ。
2005年6月中
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