運転席には葉山、助手席には新瀬が座っている。そして俺の隣では時雨が寝てるし(時計を見ると休日はまだ寝てる時間だった)その向こうの憂は瞼を閉じている。起きているとは思うが。
「…何処へ向かってるんだ」
「俺の家だ。新瀬とその娘を置いていかなければならないからな」
「お前は送迎かよ」
「愛知に私用がある。そのついでだ。お蔭様でとんぼ返りの連続だ」
「別に送迎の必要性はないだろ」
「お前のその言葉はあてにならない」
結局それか。
「運転は新瀬がいるんだから新瀬でもいいだろ」
車に乗る時に密かに運転席を取り合ってたとなると、免許はもちろん持っているだろうし運転するのが好きなんだと思う。
「新瀬に運転させた日には地獄を見るぞ」
「………意外だ」
心の底からの言葉だった。

「霜夜、ちょっと来い」
葉山の家に着いてすぐ、俺は葉山に車から引きずり出され家の中に押し込められた。
「何すんだよ」
「餞別だ」
差し出されたのは携帯電話の紙袋。
「いらねぇ」
「持っていけ」
「テメェの魂胆なんざ丸見えなんだよ」
「たまには乗せられるのもいいだろう」
「そういうつもりで行くんじゃねぇ」
「強情だなお前も。これくらいいいだろう」
「嫌に決まってんだろ。俺は葉山じゃねぇ」
「ならあの娘はお前の嫁の連れ子なのか?」
「じわじわ変な方向に持っていこうとすんじゃねぇよ!」
この後、新瀬がきたことによって俺達は止められることになる。


ちょっと間があいた理由はこのとおり。本当に苦手だ。随分ぼかされてますが。
これの後は規制かかるような言葉だらけだと思います。全て発生源は葉山さん。
氏は『無機質愛好者』なんて呼ばれることもあるくらいの人だし。多分あと4回くらいで番外いくつか。

2005年9月中


back