虹の麓の底無し沼

「あー、日常を忘れられそうだ…」
「ああ…本当は時雨さんと来たかった」
「カヅっちゃん、それ57回目。仕方ないじゃん。元々オレ達は荷物みたいなもんだったんだし」
オレ達がいるのは南禅寺の敷地内の南禅院。庭が凄い。
本当は時雨さんと蔵人もいたけど時雨さんは突然の依頼、蔵人は逸れたと思ったらもともと今日仕事が入ってたみたいでいつの間にかいなかった。
そもそもみんな時雨さんについていったような感じだし、その時雨さんは依頼で来てたんだから時雨さんと予定があわなくなってもそれはきっと仕方ないことだ。
「下見ってことでいいじゃん」
「だとしてもDr.ジャッカルが今どこにいるかわからないのだよ?!何もなければいいけど…」
「それは62回目」
「まあ、最初の段階で難しいということはわかってたよ。時雨さんは仕事が目的だし。それでも僕は護衛としてついてきて、仕事が終わるのを待った。
そして今日の午前中に終わったと聞いてせっかく京都なのだから見物に行こうと思っていたらまた仕事…働きすぎですよ時雨さん!」
とうとう矛先が時雨さんに向いちゃったー!
「虹のかかった場所を求めてたらそこは底無し沼だったような気分だよ…」
「それ、わかるようなわからないようなって感じなんだけどカヅっちゃん」
なんか、いろいろ壊れてきてるみたいだ。


南禅院は修学旅行の時に間違えて行ってしまったけどそれで正解かもしれないと思った場所。
一人称が誰なのか書いてないのに簡単にわかりそうだ。紘季です。ツッコミになってる…相手のツッコミが期待出来ないとツッコミになるのか、ヤツは。

2005年9月中


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