「………あ。急がないと…」
その人物は眺めていた携帯電話のディスプレイから視線を外し、それをしまうことなく走り出した。
「これはこれは、驚きましたよ」
驚いた、というよりは嬉しそうな声が時雨の真上から聞こえた。
振り返ろうとしたが後ろから抱えられてしまったので顔を上に向けて声の主を確認した。
「……赤屍さん」
「探しましたよ。今日も普段通りかと思ってましたから」
「何か用でもあるんですか?」
「その言葉、そっくりお返ししますよ」
何もないって嘘だったのかな、時雨。
もちろんそんな事は口には出さない。
「……弥勒さんに用があったんですけど、肝心なことを話せなかったんで」
思い出せば一方的に話して彼等の長女は去っていった。こちらの話す内容はなかったが、形だけは繕える。
「私を差し置いて、ですか?」
「…私としてもこんなに時間を食うとは思ってませんでした」
「蓮藤時雨に限って『計算外』や『想定外』は存在しませんよ」
意味はさておき、地雷は踏んでしまったようだ。
「貴方は誰ですか」
中途半端に切ってみた。ここの部分って最初から最後まで中途半端だ。しかも短いなオイ。
しかもアリス以来の密着度。(かなり前だ…)でも花見とかはやみね企画とかあるからどうなんだろう。でも中身が。
時雨はある事象が終わるまでに起こりうる事項は可能性は高かろうが低かろうが全て見通してどんな場合でも対応できるようにしてる人。特殊能力云々でなく、思考パターンの問題。
次で決着はつきそうです。そうしたら番外というかなんというかがいくつかあるのでそっちに。
2005年10月中
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