ルームナンバーは教えない

気づいたら私はベッドで眠っていた。
体を起こして辺りを見回す。見慣れない部屋に消毒液か何かの匂いが漂う。医務室とみていいだろう。
何故医務室にいるのか、それは私が階段で足を滑らせて転んだからだ。
そして、足を滑らせるまでに何があったかというと…。
「あ、気がついた?脳震盪だから大したことないけど当たり所によっては痛むんじゃない?」
私に声をかけてきたのは両手を包帯で覆った女医さんだった。
「それは大丈夫ですけど…なんで私はここにいるんですか?」
「それは助けた人がいたからでしょ」
「…それはどんな人でしたか」
「多分お知り合い。黒いコートで黒い帽子をかぶった人」
「どうもありがとうございました」
「あっ、ちょっと、ここで待たせるように言われたんだけど」
「知ったこっちゃありません」
「それができなかったら部屋はどこか聞いておけって」
教えてたまるか、そんなもの。
医務室のドアを閉めた。そして同時に逃避行が始まった。


時雨と葉栖さん。ついでにプラスアルファ。ACT.7の中程に入る話。葉栖さん2回目。(そこメインじゃない)
1回目はONEPIECE番外の中編。同じようなシチュエーションで流石親子。しかも裏新宿の要素も併せ持つ。気づいたらこうなってた…。

2005年10月中


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