「少なくとも、蓮藤時雨じゃないってことくらいはわかってるんじゃないかな?」
2人を引き剥がして(ついでに赤屍に肘鉄くらわせて)間に割り込んできたのは、鏡形而だった。
「…遅かったですね」
「まあ、ね。いろいろあったから」
「つまり、以前のアレと同じということですか」
「そうなるね。まったく厄介なことだよ」
「赤屍さんの件は忘れてたんですか?」
「オレとしたことがついうっかり」
「そういうこともあるんですね…」
「こういうことがなければ多分忘れてないよ」
「ところで、その話し方なのですか?」
「1回普段の調子でやってみたら不自然極まりないんだよね」
「それ失礼ですよ、鏡氏」
「それと、さっきの肘は」
「何故だろうね、体が勝手に動いたよ」
「私と鏡氏の共通の意思だったんですよ、それは多分」
「片方で十分かな」
「同感ですね」
「酷いですね」
「あと、それもやめてほしかったかな」
「いいじゃないですか別に」
「そこは時雨さんに賛成ですね」
「それさ、元々時雨の友人のだからあまり触ってほしくないと思ったんだけど」
「おや、そうだったんですか?」
「でももったいないとも思うんですけど」
「一応言っておくとその友人は男ね」
「時雨さん、早く帰って着替えましょう」
「ええ、やっぱり悪いんで」
「そもそも時雨に友人なんて1人しかいないしね」
「四ッ谷クン、でしたか」
遠巻きで3人を見つめる蛮・銀次・花月はクエスチョンマークを浮かべていた。
「…蛮ちゃんカヅっちゃん、わかる?」
「何がなんだかさっぱりだ」
「脈絡がなくて主題をつかめないですね…」
「わからないようにしてるんだよ」
「!!!」
いつの間にか目の前にいた鏡に驚き、建物の角から縦に顔を覗かせていた3人がバランスを崩した。
「わからないようにって、一体どういう…」
「さて、最善策を取りに行こうか」
「別にどうでもいいような…」
「そうはいきませんよ」
時雨を引き連れた赤屍と鏡が新宿の街に消えていった。
終わっとけ!ということでとりあえず区切り。
いや、プラスアルファもいくつか書きますが。この後とか。絃巻きさん一部始終とかとある人とか。
2006年1月中
back