見るも無残なその姿

「うわー…」
アレンの頭をつついてみると、指に血がついた。反応はない。ただの屍みたいになっている。
「やりすぎだよ、クロス」
「死なない程度に加減はした」
「いや、俺がいるから死なないんであって、放置したら最悪の場合大量出血で死ぬよ」
すぐに救急箱を取り出して止血を始めた。こういう事が頻繁に、ではないけど度々あるから救急箱と言っても中身は本格的だ。バイト先を本屋にして売り物の本から様々な知識を得ていたのも正解だった。
「お前は早く退職届を出してこい」
「わかったよ。で、次はどこに行く?」
「お前はアレンと教団へ行け」
「え」
思わず手を止めて見上げてしまった。命が懸かっているからすぐに手を動かし始めたけど、心なしか震えている。
「…それは、どうして」
「教団へ行ってお前に合ったイノセンスを探してこい」
「イノセンスって…教団に預けられてた頃にも試したけど、俺に合ったイノセンスはなかった」
「それは昔の話だ」
確かに時間の経過に加え技術の革新があるから、あれ以降に見つかったイノセンスもあるだろう。
「だけど、俺にエクソシストの素質があるとは思えない。よくて探索部隊だろうし、きっとその方が向いている」
「何故そう言い切れる」
包帯の結び目の端を鋏で切る。その音が響いたのは、俺が言葉に詰まっていたからだ。
「…俺は………孤児だった。それを教団が引き取った。そしてあんたについていくようになって様々なものを見て、俺がこうしているのには訳があるのだと思った。教団にいた頃も教団を出てからもその理由を教えてくれる人はいない。このままついていけばいつか何かがわかるのかと思った。だけど…」
持っていた包帯を救急箱に押し込んだ。あとは鋏をしまえば全てが終わる。
「どういうことなんだ?教えてくれ、俺がここにいる理由を。俺の両親の名前と職業を。何をしても深入りした知識や技量を身につけられない俺に何の意義が――」
そこまで言って、頭部に強い衝撃が走った。誰がやったかは考えなくてもわかる。
「俺を、血統だけで…………」
「クレイン。お前が――」
クロスの言葉を最後まで聞き取るその前に、俺は気を失った。

「………はっ。僕は…!」
アレンが飛び起きた時には既に辺りは暗くなっていた。まだ痛みの引かない頭部には応急処置が施されていた。そして傍には血の乾いた跡と蓋の開いた救急箱と刃がむき出しの鋏とティムキャンピーと――。
「クレイン?!なんで頭から血流して倒れてるんですか?!!」
師と共に既に出て行った後だと思っていた彼だった。


Dグレやってしまいました。ちまちま書いていけたらそれでよし!な方向で…男主人公です。クライム以来。あれ、また名前がクで始まる…。セカンドネームはまだ出せませんがフランス系みたいです。本当はドイツ系にするつもりだったけどドイツ人の名前を探すのに時間が掛かった…。(フランスはたまたま読んだ事のあるネット小説の舞台がフランスだったから手間取らなかった…)
広く浅くな人です。しかし浅いことがコンプレックスになってる模様。広げようとしてるだけマシだよ。楓藤よろしく狭くてもいいやって思ってない分。(むしろ自分がダメじゃん)ここだけだとなんか変な方向に向かって行きそうだけどそれはありません。予定じゃ天然レディキラー。(何それ)
名前がFEに登場する某スナイパーと被ってます。でも結構似てる箇所が多かったからそのままに…。妹はいません。(多分)金髪かどうかは考えてません。(フランス系だからアリかもしんない…?)感心する部類なのは確かですが。(ちょっと変な方向に)でもキャラがちょっと被ってるような…。
続きはあるけど本家に移るかこのままここでやり続けるかはわかりません。つうかクロスはこんなんでいいのだろうか。

2006年3月中


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