過剰妄想常習者

「大丈夫ですかー?」
「…先行ってて…」
そもそも教団を出た記憶はあっても入った記憶はないから全てはティムキャンピーに頼るしかない。でも、こんな崖なんて登らないで水路を通って出たと思ってたんだけど……。
エクソシストになるだなんて考えてもいなかった俺はアレンみたいな特訓(よりも出稼ぎの方が圧倒的に多かった気がしたけど…)を積んでない。従って、アレンよりも体力がない。必然的に遅れることになる。(気を使ってくれて待っててくれたりもしたけど)
柵が壊れない程度にもたれかかって呼吸を整える。エクソシストになるならない関係なく、少しは鍛えた方がいいかもしれない。
「行かないと…」
あまりへばってもいられない。荷物も半分持ってもらってる身でそんな事言ってられない。
というわけで、俺なりに急いでみたのだけど……。
「えっ、ちょっ、なんで?!」
アレンがエクソソシトの団服を着た長髪でポニーテールの男に変わった形の剣(確か日本の刀という種類だと思った)をつきつけられていた。
「クレイン!なんとかして下さいよこの人!」
「そんな言われても…」
多分、話を聞いてくれる人だったらこんなことにはなってないし、そうなると対抗出来る武器を持たない俺は圧倒的に不利だ。
「門番、あっちは?」
「あっちは…異常無し!ただの人間!」
「……何者だ」
こうなっているということは、何らかの事情で話が通っていなかったということになるだろう。ただ、事故よりはコムイが手紙を見てない確率の方が高いに違いない。俺は元々ここにいた人間だから事情は後から話せるだろう。ならばまずは警戒を解くべきだ。
「…クロス・マリアンについて行ったクレインとだけ伝えてくれればわかる人間がいる筈だ」
「エクソシストではないな」
「エクソシスト……」
俺はインドを出る前のことを思い出す。
「…そんな器じゃない」
「あっ、今のクレインにその言い方は」
「少なくとも今の俺には無理……というよりこの先もなれるとは思えないというか………なんでわざわざ俺なのかな………」
探すのが面倒だった……十分に有り得そうだな、クロスの事だし……そうだとしても僕じゃなくてもっと向いてそうな人が………。
「……なんだ、アレは」
「ちょっと思い詰めやすいっていうだけであなたみたいに斬りつけてきたりはしないマトモな人です」
「………」
「………」
大体どのイノセンスと適合するかとかもわからないのに僕がエクソシストだと決め付けるなんて、おかしい話だ。適合したって低ければ意味はないようなものだし……。

「クレイン!クレインってば!!」
「……あ」
気づいたら、僕の前には黒髪の女の子がいた。


思考の展開法が某長谷川圭一氏(知る人にとっては某になってない…と思ったのに検索掛けるとたくさん出てくる…勇者の人です)に似てるような気がした、クレイン。
昔の一人称は僕だったという設定。教団を出てからクロスに「ただでさえもなよなよしてるんだから直せ」とか言われたのだと思います。日本語に訳すと。もう吹っ切れました。好きです(FEに登場する某スナイパーの)クレイン。いやこっちのクレインもなんだかんだで今まで書いたことないタイプで好きですが。
なんか次が長くなりそうなので一旦切ります。ネタがあるのはいい事だと前向きに捉えておこう…。

2006年4月中


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