英字新聞に隠された罠

「『ナイトバス』が」
「やっぱり別の人を置くんだ」
いないと大変だよなと思ってはいたけど、適当に拾ってきたというわけでもないようだ。
「新入社員、ではないよね」
「はい、人材派遣会社『エムブレマーズ』のメフィと申します」
「仕事出来そうって感じだね」
「出来たら人材派遣会社に登録なんてしてませんよ」
「まあそうだね」
社員と銘打ってあっても結局はバイトだ。
「ただ前のの方がよっぽど派遣社員っぽいだけかもな…間はなかったけど代わりに隙はいっぱいだったわけだろうし。あ、運転手と話してその後仮眠取りたいから最後でいいよ。行き先はリヴァプール…いや、部屋借りるか。ロンドンの方で」
代理の彼に金だけ渡して私はバスに乗り込んだ。いつものように棚の1番下にあるミネラルウォーターを取り出す。
「足りないですよ、お金」
「前のの残ってる給料か手当てかツケから引いてあるから問題ないよ」
逆に言うとここにある分は問題ないけどそれ以降は自腹か。
1階の1番奥が空いていたからそこにバッグを置く。
「おい、バス出していいか?」
「あ、どうぞ」
代理の人が手摺をつかむ。やっぱりこのバスは初心者には不親切だ。そして私は慣れ過ぎだ。
「手紙ありがとう。アーン」
私は運転席側に身を乗り出して送り主に礼を言った。
「事情聴取はしたのか?」
「知らない事が多すぎるから明後日に延ばしてもらった」
「予言者新聞くらい取ったらどうだ?」
「一時期取ってたこともあるんだよ。情報収集は唯一自分が勝ってる所だっていい気になってたから」
「それくらい勝たせてやれよ……」
「だけど毎日マグルの住宅街に梟が飛んでくるっていうのは不自然なんだよ。うちは海の方が近いし」
土の匂いよりは潮の匂いの方が強いんじゃないかと思う。そういう街だし。
「で、まず確認したいんだけど、魔法省の方の不手際は40%で残りは完璧にスタンの過失だよね?」
「俺ぁ半々かと思ってたがな…」
「真偽に関係なくおもしろければ話題にしてるんだから魔法省にとってはいいカモだったってとこだろ。仮に聞いた内容が本当でもスタン自身がシロでもクロでもバカであることには変わりないしね」
「シロかクロってのは」
「何でもない人間か闇の方の人間かだけど、情報収集にはひょっとしたら微力に役立つかもわからないけど必要な情報を洩らす可能性のあるバカを引き込んでも返ってコストがかかるだけだし」
バカか浅はかか。この際どっちでもいいし両方でもいいか。
「本当に、馬鹿だよ」
天井を仰いで手にしていたミネラルウォーターに口をつけた。


珍しくノートの段階で後書きがなかった品。珍しい…!(浅すぎるからいつも説明不可欠なのに!)つうかこれを書いたページには6巻のタイムテーブルとかがあるんだよな…どうせ書き換え部分しかないからと一緒にしたらスペースがなくなったようだ。
いつもよりうっすら毒がこもってます。うちは思われる方が多いんだけどこの2人に関しては逆が強い。うん、ごめん、なんかわき道逸れそうだからここから先は察して。(本当にぐらぐらしてます7月2日1時26分)
とはいえ、次の方がわき道逸れまくりなのですが。

2006年7月中


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