遠い未来の昔話

20年。長いか短いかは感じる人によるだろう。
その間僕はずっとあの娘のことを見てきた。自分史を代筆出来るんじゃないかという位。
近すぎた。近すぎて、あの娘に対する感情が何なのかわからなくなってしまった。
正体がわからないから、怖い。
「日下部さん」
「あ、ぼーっとしてた?」
「はい」
それにしてもこの娘は。
「いつまでも苗字にさん付けだよね、飛都美ちゃん」
「もう癖ですから」
「20年だよ」
「日下部さんは20年、ですよ。0歳や1歳までカウントされてもどうしようもないです」
「そうだけどね」
こんなことをいつまでも続けてなんていられないだろうに。
「遠い未来の昔話、か」
「どうかしたんですか」
「…なんでもないよ」


『遠い未来の昔話』は『今の話』のつもりでお題を作り始めておよそ1年、ほぼ同時期にこれも書き始めたので相当な時間が掛かってます。単に先に詰まっただけですが。結局ほとんど書き換えましたが。
この人達の話も少し書いたりもしたけど没った(書いたルーズリーフかメモまで捨ててる)からここと企画(しかも3行)でしかやってない。あ、あとネタ帳にもあるか。

2006年12月中


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