起きてからではもう遅い

「団長よ!」
「何よ峰岸」
「野球部にマネージャーがいるように、今回の野球チームにもマネージャーが必要なのではないだろうか!」
逃げやがった!
「マネージャー?」
「ああ。実はここだけの話なんだが…
急に小声、つっても狭い部屋の中じゃ全く意味がない声量になった委員長はハルヒを部屋の隅に連れ込み。
「実は俺は『野球をしたら必ず負けてしまう病』なんだ」
などと言いやがった。お前はウソップか。
「はあ?何よそれ」
「こっちの世界でいう『呪い』の類のものだな。『向こうの世界』で誰かが『こんなことなら野球をしたら必ず負ける人がいればいいのに』なんて思った。俺は偶然にもそれの対象になってしまったんだ。ボールを投げたら必ず外れるし打って当たってもボトッと落ちるんだ。既に実証済みだ」
「それホント?!」
本当だ。俺のクラスの連中に聞いてみろ。俺が野球した姿は見たことがないって言う筈だ。まあでも見てるだけなら全く問題ないからSOS団の一員として応援やマネージメントくらいはしたいと思う。どうだろうか!」
「…なら仕方ないわね。私勝ちたいし」
許可するのか。いいのか。そんな理由でマネージャーになれるのか!

「委員長」
練習が終わって部室に戻る途中、俺は委員長に聞いてみた。
「嘘ですよね、あれ」
「当たり前だ!」
まあ委員長が異世界人だと信じ切っているハルヒは信じるかもわからんが。実際信じたが。
「ただ野球をしたことがないのは本当だ!」
「裏付け取られても大丈夫、ってことですか」
「小学校幼稚園まで遡っても安心だ」
「そんなに自信あるんですか」
「勿論だ。俺が昔好きだったのは巨人、親父が好きなのは阪神だ」
「…そうなんですか」
精々興味があるとしたら当人の好きなチームくらいまでだと思う。親父さんのことはどうでもいい。
「昔巨人対阪神を見に行った時に巨人が負けてしまったんだ。それから俺は野球が嫌いになった!」
それでかよ。それだけかよ。
「俺もマネージャーなれないですかね」
「100%無理だろう」
だよな…。


事前に言ってしまえばあるいはどうなったかもわからないけど。というわけで「起きてからではもう遅い」。起床の意味で考えてたけど発生の方になった。
野球の回を見てから思いついたネタ。メンバー足りてるじゃんということでマネージャー。運動が苦手ということはないと思う。

2007年2月中


back